沖縄県天然記念物・宮古馬保存の現場

宮城イチロー

2019年01月22日 15:23

ハイサイ、御総様(ぐすーよー)、ちゃー元気ですか?
久しぶりの投稿です。相も変わらずの筆不精。2018年は選挙、選挙に追われ、ほとんど更新ができませんでした。
今年もどうなることか不安ではありますが、心を改めて? 頑張っていきたいと思います。


さて、皆さんは昨年末、次のような週刊誌記事を紙媒体、またはネットニュースでご覧になりませんでしたか?
宮古島で馬への虐待が発覚。糞尿まみれでやせ細って衰弱死、天然記念物がなぜ?



この宮古馬の“虐待” の問題以前、2017年に私と、同じ会派の亀濱県議(宮古郡区選出)は、県の天然記念物であり増頭、保存の対象である宮古馬が、高齢により繁殖力が低下した固体については天然記念物の指定から外し、保存(補助)の対象から除外されるという情報を知り、調査、および県議会で質問した経緯があります。

調べて分かったことは、
・宮古馬は、一時7頭まで個体が減り、県の天然記念物に指定し、繁殖、保存に努めていく事になった。
・宮古馬保存会を設立し、すべての宮古馬は保存会の所有。いくつかの畜産農家、または牧場(以下、飼養者という)に飼育を委託する制度を確立。
・天然記念物の所管である県教育委員会が予算確保→宮古島市に交付。の流れで予算が飼養者に補助される。
・別途、日本馬事協会からも補助があるが、合計しても飼養者の負担は大きい。
・県教育委員会からの交付金(予算)は増えるよりは、むしろ減っていっている。
...ということでした。

その後、当時宮古島市における本件の所管である畜産課から、文化財保護の観点で県と同じく市教育委員会に移管し、繁殖力が低下した固体の指定除外という保存会のルール改訂も視野に入れ動いていくという事で一旦安堵していましたが、その調整を待たずして今回の虐待の報道がなされ驚きました。
早速、亀濱県議と連絡を取り、私自身も宮古島に入って現場を見ることに。




最初に、城辺にある市教育委員会にお邪魔してこれまでの経緯と、今回の報道の事実確認から。
私達がお邪魔した時点での飼養者数は7ヶ所で、個体数は45頭との事でした。
この日、1ヶ所減って6ヶ所になるそうです。
実はこの飼養者は、今回の報道で母馬が餓死し、仔馬も脚を折って死亡してしまったところ。牡馬(仔馬の父馬ではない)があと1頭いますが、報道後、多くの苦情の電話などが殺到し、飼養者自身も傷つき、飼育をやめることに。
教育委員会の担当者から詳しく聞くと、母馬は産後の肥立ちが悪く、自分でエサをとれなくなったためで、決して飼養者がエサをあげなかったからではありませんでした。仔馬の骨折も虐待ではなく、衰弱した母馬がのしかかったためなのか、もう1頭の牡馬となにかあったのか、はたまた仔馬自身が何らかの理由で脚をすべらせてケガをしたのか? 原因は分からないが、これも飼養者が虐待した訳ではないとの事。
日頃の飼育への向き合う姿勢から、決してそんなことをする飼養者ではないと断言していました。




今回、私達は7ヶ所すべての現場を見てきました。飼養者全員に会えたわけではありませんが、決して嫌々ながらとか、仕方ないからとか、補助がもらえるからとかではなく、多くの飼養者は「オレは馬が好きだから」という理由で保存会から飼育を引き受けているという事が分かりました。予算が減り、赤字を出しながらも頑張って飼育しているのは、純粋に馬が好きだからです。







そういう中で、飼養者は不在で会えなかったのですが、1ヶ所の畜舎は、報道であったような糞尿まみれの劣悪な環境でした。
繋ぎ飼いされ、自由を奪われ、死体となった馬の画像の現場に酷似していました。
動物を養いながらほとんど不在で、市教育委員会の担当者もなかなか会えず、話も聞けない状態との事。
私達も、宮古馬以外の品種の馬と牛が繋ぎ飼いされ、多くの排せつ物で衛生管理がまったくなされていない現場に驚きました。
宮古馬は同じスペースながら繋がれてはいませんでしたが、報道直後だったので、敢えて宮古馬だけ繋ぐのをやめているのでは? と疑ってしまう感じです。それでも狭い囲い中に3頭押し込められていました。

市教育委員会の担当者の話によると、まもなく、この飼養者のところの3頭は、別の飼養者のところに移動させることに決定したそうです。







今回、宮古島に入り、教育委員会に話を聞き、すべての畜舎を見学させていただきました。
これほど、天然記念物の宮古馬の飼育に愛情をそそぎ、少ない補助金で赤字で運営している飼養者の皆さん。
保存会の制度改革、県教育委員会の保存への予算確保など、まだまだ問題解決のためにクリアしなければならないことがたくさんあります。
人間の子供たちの子育てや教育、それさえも厳しい予算の中でやりくりしていますが、動物の命もまた軽んじられてなならない。
その折り合いを、ギリギリまで努力していきたいと思います。







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